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Blindfold
第26章 買い物
近所のスーパーにて、
カートを押しながら、カゴの中に入っていく野菜を私はじっと見ている。
「レタスもいるな。お、今日は安いじゃん」
そんなことを言いながら、買い物をする姿はまさに主婦そのもの。
まぁそんなことはいいんだけど…
「野菜買いすぎ」
私が苦手だって知っているのに、どんどんカゴに入っていく野菜を見て私のテンションが下がっていく。
「お前の健康を気遣ってやってんだろうが」
「…………頼んでない」
私の言葉に、店長は「ったく」と言いながら、また野菜を掴んでカゴに入れている。
「そういう生意気なことを言うなら、グリーンピースも追加な」
「っ……んも、ホントにいらないってば!」
一番と言ってもいいほど嫌いな食べ物に、私は思わずカゴの中から取り出して元あった場所に戻す。
すると、店長はプッと吹き出して肩を揺らしていた。
本当にバカにするのもいい加減にしてほしい。
ムカムカして私はそのままカートを一人で進めた。
「おい、待てって」
玉ねぎを掴んだ店長が私を追い掛ける。
なんか、恋人とスーパーで買い物ってもっと夢があると思ってた。
実際には店長の方が断然主婦だし、どこに何があるかも把握してる。
まぁ当たり前だ。
料理するのはいつも店長だし。
なんなら私は一人だったらめんどくさくて食べなかったりする。