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Blindfold
第26章 買い物



精肉の方に差し掛かったところで、たくさん積まれた卵が目に入ってじっと見つめる。



………オムライス食べたい、な。




「オムライス食いてぇのか……?」




手を伸ばしていると、私の心を読んだように店長が声を掛ける。


図星で恥ずかしいように思ったけど、「まぁ…うん、」と曖昧な返事をすると、店長は卵を掴もうとする私の手を掴んだ。




「卵はまだあっから」


「……………」


「買わなくても大丈夫だ」





不意打ちで顔を近付けられて、顔が熱くなるのを感じた。



ウェーブしたやや長い黒髪に、顎に少し生やした口ひげ。



大人の男って感じの色香をムンムンに漂わせていて…



正直、


本当に、


いい加減にして欲しいとムカついてくるくらいかっこいい。





「そ、うなんですね」


「6つはあったはずだ」


「……………よく覚えてますね」


「買い物行く前に確認したんだよ」




顔が紅いのを隠すようにフッと顔を逸らすと店長は呆れたようにそんなことを言った。




「帰って、卵しまう時にまだ残ってる卵のパック見つけた時の絶望感たるや……」



「は、あ……」



「料理しねぇお前には分かんねぇだろうが、なかなかショックで悔しい気持ちになるんだよ。だから買い物行く前に卵は必ず個数を確認する」




大袈裟だな、と思った。



というか、さっきまでかっこいい!って胸をときめかせていた時間を返してほしいとすら思う。




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