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Blindfold
第27章 掛け持ち
「と、いう訳なんですけど……」
幸さんのお店である「radice」にて、私は全ての事情を話し終えると、幸さんは顎に手をやって「うーん…」と唸っていた。
やはりそんな簡単にはいかないだろうか。
そもそも接客経験があるとはいえ、キャバ嬢とは全く異なるだろうし……
「やっぱりっ……やめておいた方がいいですよ、ね? 幸さん」
相変わらず焦っている葵がアシストする様にそういうと「そうねぇ…」と幸さんが呟いた。
「……私、向いてないですかね」
「いや、そんなことはないわよ。むしろ向いてると思う」
「え……本当ですか!?」
思わず驚いて身を乗り出すと、「でもねぇ」と幸さんが続ける。
「達也にバレたら、こじれる気がするのよねぇ…」
幸さんの言葉に葵がうんうんと力強く頷いている。
それだけが懸念なら、別にどうにでも出来る気がした。
そもそも店長のための計画だし、もう3週間もないくらいの間の話だし。
「大丈夫です、何とかなります」
「うーん……でも、桜ちゃん、達也に上手く嘘つける?」
「え、っと……」
早速出来る気がしなくて、視線を落とす。
ただでさえ、店長は勘がいいし、すぐに私の思ってることを見抜いてくる。
ほんと、まるで超能力のように。