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Blindfold
第27章 掛け持ち
「今だって、結構達也の家にいるんでしょ…?」
「………そう、ですね、最近は割と」
「なら尚更……」
「で、でも、だったら私しばらく店長の家にはいかないようにしますし」
そう言いかけたところで、葵が「えっ…」と声を上げたので思わず見つめると涙目をしていた。
「かわいそう……そんなの、店長悶々としちゃいますよ……! あ、いやでも……さらに桜さんのことが気になっちゃって、苦悶の表情が見れるってこと……? さらにようやく誕生日を迎えて、桜さんがプレゼント渡せばきっとめちゃくちゃだらしない顔とかして…」
今度は涙を引っ込ませてだらしない顔をしてながら、「ぐふふふ」と笑っている葵が気味が悪くて少し距離をあける。
「………店長には……そう、ですね、しばらく親戚のおばさんの面倒をみるとか何とか言います。バレないようにちゃんと話も作り込んで……だから……」
「本当にできる……?」
「できるというか、やります」
「そう……。まぁ…そこまで言うなら」
少し困ったように笑う幸さんに、私は頭を下げる。
良かった。
あとは数週間、店長にバレないように稼いで、プレゼントを買うだけ、だ。
「っ…ちょっと幸さん、本当にいいんですかーー」
再び涙目になる葵に、幸さんが笑う。