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Blindfold
第27章 掛け持ち
「惚れてんだね、ほんと」
「…………………」
「いいなぁ〜〜。より桜が欲しくなってきた。てか、一回でいいからヤらない?」
「ヤらない」
即答すると、北野悠はまたハハハと笑った。
本当になんていうか、ペラペラの薄っぺらい人間だ。
何故こんなよく分からないやつに気に入られているのか、未だによく分からない。
「てか、スミレだって言ってんじゃん」
「慣れないんだもん」
イライラしながら、私もお酒をひと口飲むと、「てかさー」と北野悠が話を続けた。
「さく…スミレも、俺のこと、悠って呼んでよ」
「やだ」
「えーー。じゃないとうっかりちょいワルオヤジに俺話しちゃうかも」
本当に最低だ………
状況からして完全に弱みを握られた。
「分かったから……」
「まあ、とにかく楽しくお酒飲もう、ね」
何を言ってるのか、こいつがいる限り楽しくなんかならないのに。
「スミレ、明日もいるの?」
「明日は…こっちじゃない」
「へぇ! じゃあ俺も『Blindfold』行くわ」
余計なことを言ったかもしれない……。
私は再び深く深くため息を吐きながら、ずっと悠の接客をしていた。