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Blindfold
第30章 ハッピーバースデー
お昼に葵と合流した私は、とりあえずすかさず、ファミレスに葵を引き込んだ。
「あれ、買い物行かなくていいんですか?」
「………ちょっと聞いて欲しいことがある」
「……? どうしました?」
不思議そうに首を傾げながら、葵はメニューも見ずに店員さんにオーダーしている。
きっとよく来るんだろうけど、今はそんなことどうでもいい。
「店長の家に入って、準備始めてたんだけど」
「はい」
「プレゼントの隠し場所決めたくて……ふすまを開けたら…その……っ」
言い淀む私に、葵は焦ったそうにしている。
それでも周りの目が気になった私は、耳を貸すように葵に言って、葵の耳元でこしょこしょと話した。
「えっ……うわ…ほんとですか。でもまぁ男の人だし…。何枚くらい?」
「いや、分からないくらいたくさん…」
「ひょぇー」と反応する葵に「しかも」と私は言葉を続ける。
そしてやっぱり人目が気になった私は、また葵に耳打ちした。
「んえっ……! うわぁーーー!!!えっ…店長そういう趣味!?」
「ちょっと、うるさいっ…」
「すみません」と言いながら、葵は目を輝かせている。
そして、ちょうど運ばれてきたミニパフェを一気にもぐもぐと食べると、勢いよく席から立ち上がって私の手を掴んだ。
「よし! 行きましょう!!」
「えっ……な、なに急に」
「だって、プレゼントも、お部屋の飾りも、買わなきゃいけないのに、ドンキまで行かないといけなくなっちゃったから!!」
そのまま私は葵の勢いに飲まれるがまま、準備を進めていた。