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Blindfold
第3章 お店
正直こたえた。
それと同時に、イライラが身体の中に充満するのを感じた。
店長は、まるで父親のように、大丈夫なのか、もっとこうしろ、ああしろと、いつも口やかましい。
だけど
「私、店長が思っているより子どもじゃありません」
穢れているんだ。
「何も知らないくせに」
自分を大切に、なんて、綺麗ごとすぎて笑える。
強引に、掴まれた手首を振りほどいた。
店長は、少し悲しそうな目をして、視線を下に落とした。
「立ち入って悪かったな」
「……もう帰ります」
「ああ…お疲れ」
軽く礼をして、扉に向かった。
苦しくて、早く外の空気を吸いたかった。
「桜」
扉に手をかけたところで、再び店長が私を呼んだ。
もう聞きたくなかったから、私は振り向かなかった。
「言いたくなったらでいい。いつでも」
聞いてやるから──
と店長は言葉を続けた。
お節介だ。
「……お疲れさまです」
私は聞こえないふりをして、そのままお店を出た。