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Blindfold
第31章 結果オーライ
思わず照れながら、少し俯く。
スタイルなんて気にしたこともなかったから……
「もっと、スカートとか履いたら?」
「スカート……。うーん。たしかに私服はほとんどパンツで…」
「ダメよー!若いうちにもっと楽しまなきゃ! 今度かわいいの見繕ってあげるから一緒にお買い物行きましょ」
優しく笑みを向けていた幸さんは、わざとらしくハッとして見せると、チラと私の隣に佇む店長を見る。
「あー…でも、あんまり彼女が可愛くなっちゃうと彼氏が心配しちゃうかしら?」
「…………別に心配なんかしねぇよ。自分の好きな格好をすればいい」
「なにそれ愛されてる余裕?」
「………………」
「すかしちゃって。さっきは桜ちゃんと拓也の帰りが遅いってだけでイライラしてたくせに」
え?と私が首を捻る傍ら、店長が慌てた様子で「してねぇよ!」と叫んでいる。
「え? ちょっとそれ、どういう意味だよ」
「あなたは弟から信頼がないってことよ」
「ひ、ひでぇーー! いくらかわいくても流石に桜ちゃんには手出さねぇよ!」
大袈裟にのけぞって見せた拓也さんは、そう言った後にすかさず私のことを見る。
「あ、桜ちゃんに魅力がないってことじゃないよ? 達也の彼女じゃなかったら俺だって桜ちゃんのこと好きになってたと思うし───」
「─── うるせぇな、変な口説き方してんじゃねぇよ」
拓也さんの完全な社交辞令をピシャリと止めた店長の様子に、幸さんが口パクで「ほらね」と言っている。
それを見て、胸がキュッと狭まるのを感じた。