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Blindfold
第5章 ナンパの男
朝起きて、逃げるように樹の家を出た。
何故か分からないけれど、もうこの家には来ないような気がした。
心にはぽっかりと穴が開いたような、そんな感覚。
何となく遠回りして、バイト先の前を通る。
今日はバイトはない。だからいく必要はない。
第一、朝早くに行ったって夕方から開く店なのだから、どうしようもない。
そんなことは分かっているはずだった。
でも、何故か私は店の前に来てしまったのだ。
────────────なんかあんだったら相談しろって俺言ったよな
「…相談ねぇ……」
私は、店長の言葉に甘えるために来たのだろうか。
でも、何をどう相談するんだろう。
答えなんて分かりきっている。
かずにぃと私の関係は、認められないもので、このまま続けていい訳ない。
樹を利用してることも人として最低なことだってことは、分かっている。