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Blindfold
第5章 ナンパの男
店の前の花壇を見つめる。
前から、ここには色んな花が咲いている。
店長が育てているんだろうか。
ガラでもない。
あんなむさ苦しいひげを生やした30後半の男が、花に水を上げている姿なんてまるで想像出来ない。
でも、毎日ここに来ている人は、店長くらいしかいない。
だから、水をあげているのは、やっぱり店長なのだろう。
良く見たら、私がここで働き始めたときには植わっていなかった植物まである。
人は見かけに寄らない──
そんな事を思いながら、私は小さく息を吐いた。
帰ろう…
別に話す事も、話せる事もない。
そんな事は分かりきったことなのだから、わざわざ遠回りまでして寄る必要はなかったのだけれども。