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約束~リラの花の咲く頃に~Ⅲ Love is forever
第4章 【接近~近づいてゆく心~】
「殿下、どうかなさいましたか?」
具合でも悪いのかと気遣わしげに訊ねると、王は微笑んだ。
「済まない」
だが、莉彩はその瞳のあまりの昏さに胸を衝かれた。王がこんな眼をしたことなど、かつて一度たりとも見たことはなかった。
莉彩が知る限り、王の瞳は常に澄み渡り、微塵の昏さもなかった。なのに、今、王の瞳は虚ろで、無限の闇へと続いてゆくかのようだ。黒々とした瞳は何の感情も宿してはいない。