この作品は18歳未満閲覧禁止です
約束~リラの花の咲く頃に~Ⅲ Love is forever
第8章 【想い】
彼女と彼を無情に引き裂いたのもまた、運命と呼ばれる予め定められたものだ。女が消えてからというもの、彼にとっては周囲のすべてのものが色褪せて見えた。愛する者が去り、生きる甲斐を失っても、四季はうつろい、花は咲き、樹々は色づく。
しかし、どんな花の美しさも彼には何ほどの価値もない、つまらないものだ。いっそのこと、本当に世界の、この世のすべてが闇に塗り込められてしまえば良いのにと思うことさえあった。