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約束~リラの花の咲く頃に~Ⅲ Love is forever
第8章 【想い】
王がふと思い出したように懐をまさぐった。懐に差し入れた王の手に握られているのは、一枚の手巾だった。白い小さな手巾の片隅に可憐な紫の花、リラの花が刺繍されている。劉尚宮に叱られて泣いていた莉彩の涙を王が手ずから拭き、莉彩もまた同じこの手巾で王の涙を拭った。二人にとっては想い出の品である。
莉彩、そなたは、この手巾のことを今でも憶えているか?
王は純白の布を月明かりにかざしながら、遠い時の果てにいる恋人に問いかける。
莉彩、そなたは、この手巾のことを今でも憶えているか?
王は純白の布を月明かりにかざしながら、遠い時の果てにいる恋人に問いかける。