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約束~リラの花の咲く頃に~Ⅲ Love is forever
第2章 【邂逅~めぐり逢い~】
莉彩にとっては果てしない長さのように思われたが、現実にはたいした時間ではなかったはずだ。なおも現実を避けようとするかのように眼を閉じ続ける莉彩の髪をそっと撫でる手のひらがあった。
「もう、大丈夫だ」
深い、心に滲み入るような声音に、莉彩はそっと眼を開く。視界に映じたのは、見知らぬ男の貌であった。年の頃は三十そこそこくらい、抱きしめられた腕の感触は逞しいという形容がぴったりだったけれど、顔立ちは存外に整っている。
「もう、大丈夫だ」
深い、心に滲み入るような声音に、莉彩はそっと眼を開く。視界に映じたのは、見知らぬ男の貌であった。年の頃は三十そこそこくらい、抱きしめられた腕の感触は逞しいという形容がぴったりだったけれど、顔立ちは存外に整っている。