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約束~リラの花の咲く頃に~Ⅲ Love is forever
第10章 【対立】
今、王は大妃を確かに〝母上〟と呼んだ。
しかし、その声音は聞く者の心を凍らせるほどに冷え切っている。
「あなたの母とあなたは、私をとことん苦しめた。あなたの母のお陰で、私は中殿という立場にありながら、まるで日陰の身のように小さくなって宮殿で過ごしたのだ。先王さまの寵愛を一身に集めるそなたの母は後宮で時めき、廷臣たちがご機嫌伺いにゆくのは中殿の私ではなく、側室の淑儀―そなたの母の方であった」