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約束~リラの花の咲く頃に~Ⅲ Love is forever
第10章 【対立】

大妃が言い捨て、背を向ける。そのまま大妃殿に入ってゆこうとするその背に、徳宗の声音が追い縋った。
「大妃さまは、先刻、私が国王ゆえ、鞭打つことはできないと仰せになられました。さりながら、大妃さま、私は国王である前に一人の人間であり、妻を愛する良人、更には、あなたの息子です。私は好んであなたと争っているわけではありません。それだけは憶えておいでになって下さい」
「―おっしゃりたいことは、それだけですか」
「大妃さまは、先刻、私が国王ゆえ、鞭打つことはできないと仰せになられました。さりながら、大妃さま、私は国王である前に一人の人間であり、妻を愛する良人、更には、あなたの息子です。私は好んであなたと争っているわけではありません。それだけは憶えておいでになって下さい」
「―おっしゃりたいことは、それだけですか」

