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約束~リラの花の咲く頃に~Ⅲ Love is forever
第14章 ♦MooN Light ♦
莉彩はその日の夜半、ひそかに淑妍の屋敷を出るつもりであった。荷物といっても何もない、身一つでこの時代に来たのだから。
莉彩にとって、たった一つの財産は髪に挿したリラの簪だけだ。が、これだけは何があっても、売らない、手放さないと決めていた。
そのときも莉彩は簪を手に取って眺めていた。アメジストの花びらをそっと手でなぞる。そろそろ黄昏刻で、聖泰は莉彩の傍らで昼寝をしている。