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第2章 親父の女

父親が連れ帰って来る女は、きっと、お色気ムンムンの厭らしい女性だろうと思って、一緒に住むのを嫌っていた歩美だったが


スポーツをやっていた清潔感のある美人の美和と、母親がいなくなって以来、久々に歳上の女性と身の周りの話しをして、歩美は安堵感を感じていた


美和さんて、美人で優しくて話しやすいし、素敵な女性だわ、買い物を終えて帰宅するころには歩美は美和のことが好きになっていた


一緒に夕食作りましょ、歩美さん


はい、美和さん


午後7時過ぎ、春男が帰宅してきた


親父、お帰りなさい


おう、お疲れ、春男


晩飯にするから、早く手を洗って着替えて来い


着替えを済まして食卓についた春男に父親が美和の紹介を始めた


春男、こちら美和さんだ、今日からこの家で一緒に住んでもらうから、仲良くしてやってくれ


春男さん、初めまして美和です


突然の事でご迷惑でしょうけど、よろしくお願いします


あ、はい


春男です、こちらこそよろしくお願いします


父親の隣に座るその女性は、座っていても父親より頭の位置が二つ位高く、背の高いスレンダーな姿が想像出来た


隣家の真子の明るい色あいのウェーブがかった髪に比べ、目の前の美和は、綺麗な長い黒髪を真ん中分けにした、和風な感じの美人だった


親父にしては、いい女を連れて来たな、心の中で春男はつぶやいた


もう、歩美とはすっかり仲良くしてるから、あとは春男、よろしくな


念を押すように父親が春男に言った


父親の言葉に少し驚いて春男は妹の歩美を見た


昨夜の台詞が嘘の様に、歩美は楽しげに美和と言葉を交わしていた