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◇なななの短編◇
第11章 さっぽろ雪まつり!(B,近甘,ᙠ)

この人たち、会話が丸聞こえって分かってないんだろうか。
というか…朝からこんなカップルを二組も見せられて、何だか疲れてきた。
「いやっ…そそんなっ……私が誰よりも副社長のことを好きでっ……いやっというかっ…大好きですっ……隼人くんにも負けませんっ…」
何を言っているんだか、少しめちゃくちゃな懸命な彼女の叫びに、彼は余裕そうにフッと笑う。
「ありがとう…僕もだ──」
そう言って彼女の頰に口付けた彼は、そのまま彼女の耳元に口を近付ける。
そしてごにゃごにゃと何かを囁くと、彼女の顔がシューーーっと音が出そうなほど紅くなった。
「こっ…こんな朝から何言ってるんですかっ……」
「嫌なの?」
「いっ……嫌じゃないですけどっ…」
彼女の反応とニヤリと笑う彼を見て、何となく彼が言ったことの想像が付いた。
ああ…なんだか本当に疲れてしまった。
「何してんだ桜。見るんだろ、雪像」
「……はあい」
胸焼けがしそうなほど甘いカップルの会話に少しぐったりしながら、私は店長の後に続いた。

