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◇なななの短編◇
第11章 さっぽろ雪まつり!(B,近甘,ᙠ)



バスに揺られながら、景色を眺める。



辺り一面雪の世界。


少し都心から離れているせいか、雪かきがあまりされていない。



それがまた幻想的でいい。



そんな北海道の景色を見つめていると、ギュッと腕を掴まれた感覚がして、俺は隣に座る桜の方を見た。





「……どした…?」





そう問い掛けるが返事がない。不思議に思って顔を覗き込むと、スヤスヤと眠っていて、フッと笑った。



相当はしゃいでたから疲れたんだろう。



大通会場の雪像も、めちゃくちゃ目をキラキラさせて見てたし。


素直じゃねぇから、そういう風に見せないようにしていたんだろうが、表情と歩くスピードからしてワクワクしてんのがバレバレで見てて面白かった。



連れてきた甲斐がある。




そんな事を思いながら、俺の腕をギュッと強く抱き着くようにして掴んでいる桜を再び見た。



すっかり寝入っていて、完全に俺の方に体を傾けている。




「………っ……」



今さらそんな状況が恥ずかしくなって、片手で自分の顔を覆った。




電車でもまるで誘うような目で見上げてくるわ、さっきの会場では突然袖を掴んでくるわ…




────────────転ばな…い…よう…にっ…?





何を言ってんだか。



そうならねぇように靴を買ってやったんだから転ぶわけがねぇのに、真っ赤な顔でバレバレの嘘付きやがってっ……。



どーせ手を繋ぎたいとか思ってんだろうが、あんなに人が多いところでそんな事を叶えてやれる訳もねぇし……。




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