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◇なななの短編◇
第11章 さっぽろ雪まつり!(B,近甘,ᙠ)
普段意地を張っているくせに、突然狙っているかと疑いたくなるようなタイミングで甘えてくる。
そんな桜の不意打ちに何とか平静を保とうとしているが、全然心臓が追い付かない。
はぁ…と小さく溜め息を付いて、桜の顔を再び覗き込む。
軽く微笑むように口元が綻んでいる。きっといい夢を見ているんだろう……。
こっちの気も知らず呑気なもんだ。
「次の会場って遊び場みたいな感じ…なのかな…?」
「っぽいけどな。何か、雪の滑り台とかあるらしいぜ」
「そうなんだ〜!」
聞き覚えのある声。
ふと顔を上げると、さっき前を歩いてた学生と思われる二人が楽しそうに話している。
「それって、私たちでも乗れるのかな?小さい子向け?」
「あ〜…どうなんだろ。でも、これ見た感じ、大人も乗れんじゃね?」
「あ、これ…さっき真希様からLINEで送られて来たところだ!」
「へぇ〜」
「なんかね?隼人様がこれ気に入って、ずっと乗ってるんだって」
そう言って、彼女の方がガイドブックを覗き込む。
そして、ニコリと微笑みながら彼氏を見上げた。
「楽しみだね…」
「っ……お、おぅ」
至近距離で微笑まれて、明らかに顔を紅くしている男を見て、フッと笑う。
まぁ、同じ男として、気持ちが分からないでもない……が。