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◇なななの短編◇
第11章 さっぽろ雪まつり!(B,近甘,ᙠ)
また店長が突然歩みを止めたせいで、ぶつかりそうになっていると、くるりと店長は振り返った。
少し俯きながら、目だけ上に向けて彼の様子を探る。
「だーーかーーらーー……」
「─────…んっ…」
急にグッと顎を掴まれ、塞がれた唇。
それに目を見開いていると、店長は顔を離したあと、再びムッとして私の事を見つめた。
「………急に言うな…っ!」
え??
ありがとうと…言ったこと、だろうか…。
結構考えて言ったから…急に言ったつもりはない…んだけど。
て、いうか……店長が…外でキスしてきたことが意外だ…。
………もっと……してこないかな。
そんなことを思って再び彼を見上げると、少しだけ彼の顔が紅らんでいるように見えた。
「……そういう顔も外ですんなっ…! 電車でも言っただろうがっ…!」
「………顔…?」
「とにかくお前は全部急すぎんだよっ…!」
……この人、何にそんなにイラついているんだろうか。
「たくっ…あ〜〜落ち着かねぇな…タバコ吸いてぇっ…」
そう言いながら、手を繋いだまま再び店長が歩き出したので、引っ張られるようにして付いていく。
「こんなことさせて…俺をいくつだと思ってんだっ…」
そんな事を言いながらも、手を離さないでくれる彼が好きで堪らない。
……本当に楽しくて幸せな旅行だった。
また、彼とここに来れますように……。
そう心の中で願いながら、握る力をギュっと強めた。
「さっぽろ雪まつり!(B.近甘.ᙠ)」おわり