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◇なななの短編◇
第13章 もしもな2人(近くて遠い)
「要さん…」
ふぅ…と息を吐いてソファーに腰を下ろした要に、真希が少し心配になりながら隣に腰掛けた。
「……どうしました…?」
仕事終わり。
ようやく愛しい人の顔が見れる──…
そう思って寄り道もせずに帰宅したのだが、期待していたような表情を見せない真希に要は顔を覗き込む。
「最近…ちょっと働きすぎなんじゃないですか…」
「え……?」
「少し…痩せたような気がします」
見上げてきた真希に、要は目をパチパチとさせる。
「は…あ…そうですかね…?」
「そうですよっ…もぉ…自覚ないんだから!」
ゆっくりと、躊躇いがちに抱き着かれて、要はトクンと自身の胸が鳴るのを感じた。
「………お昼ご飯の時間とか、ちゃんと休んでるんですか?」
「……あぁっ…と…」
正直、食事を取ることを忘れてしまうくらい仕事に没頭していることもあるが……
要は柔ではない。それに仕事は楽しいからするものであって、苦であったことなど一度だってない。
それでも、こうやって体を気遣ってくれる相手がいる事の幸せが要の胸を熱くさせる。
その相手が想いを寄せる相手であったら尚更…