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◇なななの短編◇
第13章 もしもな2人(近くて遠い)
耳元にキスを落とした要は、はぁ…と息を洩らしながら、自身のネクタイを緩める。
結び目が、シュっ…と音を立てて下へと降りていく。
その華麗な仕草を見ながら、真希はドキドキと鼓動を速まらせていた。
襟元をネクタイが通って、そしてふわりと宙を舞う。
真希がそれを目で追っていると、要は真希さん……と名前を呼んで再び真希に顔を近付けた。
「──よそ見はダメですよ。僕を見てください」
「っ………」
甘い甘い囁き…
それだけにびくりと体を震わせる真希が愛おしくて、要は少しだけ口元を緩ませる。
「要さんっ…せめて…ベッドにっ…」
「無理です…」
「そっ…すぐそこじゃないですかっ…」
「それはあなたにとっては、でしょ」
「……っ……」
「僕は、あんなところまで我慢出来ません」
直球すぎる言葉に、真希は何も言えずにただされるがままでいることしか出来ない。
少しずつ、余裕なさげに息を荒げる要。
2人の夜はまだまだ長い。
「真希さんっ……」
「あっ……」
「……愛してます…」
「…私も…っ…」
ああ…
今日も
寝不足は解消出来そうにない──…
そんなことを思いながら、要は再び熱く真希の唇を塞いだ。
「もしもな2人」おわり