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◇なななの短編◇
第15章 いい加減彼氏にしてください
「そんなの嫌ですっ……」
顔を歪ませた谷川くんは、さらに強く私の手首を掴む。
そうすればそうするほど、さらにいじめたくなってしまう。
「そろそろ授業だから」
「……………」
「離してくれる?」
私の問い掛けに、渋々合意した谷川くんは、ゆっくりと私の手首を離した。
谷川くんに背を向けて、私は机の上に置いていた本を掴む。
「じゃあね」
「………俺、絶対諦めないです」
「……谷川くんも、ちゃんと授業出なよ」
谷川くんの言葉をスルーして、私はそのまま図書館を後にする。
廊下の方が涼しいかも。
そんなことを思いながら、私は首元の汗を拭って教室に向かった。
「いい加減彼氏にしてください」【完】