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◇なななの短編◇
第16章 困る騎士(† 姫と剣 †)
体が鈍らないようにと思ったことがきっかけだった。
久々に、王から授かった大剣を握って、家の裏で振りかざしていたのだが……
「───────…っ」
少し前から感じる背後からの強い視線。
チラと視界に入れると目をキラキラさせているルシアがいる。
途端にやりづらくなったのだが、あまりに輝かしい視線を向けられているので逆にやめるにやめられない。
気にしていないふりをしながら、邪念を取り払うかのように剣を振っていると、これ見よがしな大きなため息をルシアがついた。
動きを止め、剣を仕舞い込む。
そして、ルシアの方へと向かうとルシアは花壇のへりに座って自身の両頬を包み込みながら、うっとりとした表情を俺に向けた。
「あれ…? もう終わり?」
「……そう、ですね」
愛しい人に、こんなに見つめられて、集中できるはずがない。
「そっかぁ…」
汗を拭いながら、残念そうな彼女の隣に座ると、ルシアはまたキラキラと輝かしい笑みを惜しみなく俺に向けた。
「……どうか、しましたか」
文字通り穴が開くほど見てくるので尋ねると、ルシアは「うんん」と首を振って俺の腕をギュッと掴んだ。
「相変わらず、リューイはかっこいいなって思って」
「───────…」
「本当、大好きよ」