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◇なななの短編◇
第16章 困る騎士(† 姫と剣 †)



恥ずかしげもなく、放たれた言葉に俺は額に手を当てて天を仰ぐ。


想いを遂げてから、心臓がいくつあっても足りない日々が続いている。


しかもルシアは曇りなく真っ直ぐに想いを伝えてくるので、胸がむず痒くて仕方がない。


加えてこの満面の笑み……



「はぁ………」


「なんでため息なの」



一転してムッとした顔を至近距離で見せられて、再び俺はため息を吐く。


どんな表情にも胸を掻き乱されて、たまらなくなってしまう。



「ねぇっ…ちょっとリューイ、なんでそんなにため息ばっかり───」




不服そうなルシアの顎を掴んで、そのまま俺は衝動のままに唇を塞ぐ。


凛々しく、真っ直ぐで…


愛しくてかわいすぎる…


俺だけの姫────



唇を離すと、今度は白い肌を赤らめて、上目遣いで俺のことを見上げてくる。




「い、いつも…突然すぎ……っ」


「不意打ちしているのはあなたですよ」


「……? 不意打ちなのはリューイの方でしょ」


「分かっていませんね……」



呆れながら、ルシアを引き寄せて紅らんだその頬にキスを落とす。




至近距離で見つめると、潤んだ深緑の瞳がいつもの如く俺を惑わせてきた。




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