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◇なななの短編◇
第3章 小さな世界(近くて遠い)
「先生ってことだよ。」



「へぇ…」


じゃあ明日から、森口先生のこと、

森口しはんってよぼーっと。


「えっ…師範って…すごいっ!?」



おねえちゃんが驚くと、かなめはぺこちゃん人形みたいにベロを出した。



「バレましたか。
すみません…どうしても真希さんと過ごしたくて…。
あ、でも恵方巻きは関西のものなので、食べたことないのは本当です。」


「はっ…どうだか!!ただ邪魔しに来ただけだろうがっ!!さっさと帰れっ!」


えっ…


「いやだ、ボクまだかなめといるっ…」


隣に手を伸ばしてぎゅっとかなめの服をつかんだ。


だって、


まだこの前ひかるに買ってもらったおもちゃ、見せてないし、


ひかるに教えてもらった7の段の九九をまだ自慢してないし。


「うーん…隼人ごめんなぁ。俺もまだいたいんだけど、家の主人がああ言ってるんじゃ帰らなきゃなぁ…」


むっ…



「やだっ!まだかなめといたいっ!」


「ふんん……じゃあ…隼人が頼んでくれるか?」


「うん!!」



ボクは大きく返事して、イスから立ち上がると、かなめが耳元でゴニョゴニョいった。

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