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◇なななの短編◇
第4章 2013年2月9日(近くて遠い)
────────…


「きゃあっ」


光瑠さんに片腕を、要にもう片方の手首を掴まれて、私は同時に二人を見た。


どうしようっ…

ちょっと隼人の将来を考えてただけなのに…っ


「関根、いい加減にしろ」


怒鳴るわけでもなく静かにそう言った光瑠さんに背筋が凍った。


「あなたこそ…


僕の言葉をお忘れですか──」


要もいつもと違った低い声に鋭い目付きで光瑠さんを見つめる。


「言葉…?」


「──僕は身を引いた時言いましたよね…」


その黒髪が、風で靡いた。

「『今度苦しませたら、
僕は容赦なくあなたから彼女を奪います…』と…」


え…?

いつそんなことをっ…


「───っ…」


「思い出しましたか…」

ニコリと笑った要さんはグッと手首を掴む力を強めた。


「別に俺は…っ…苦しめては…」


そう言いながら、光瑠さんは下唇を噛んで私を見つめた。


「……真希っ…よく分からんが許せっ…悪かった…っ」


「へ…」

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