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◇なななの短編◇
第4章 2013年2月9日(近くて遠い)
「あっ…ダメっ…」


身をよじらせ顔を上気させる真希をみて、光瑠は歯ぎしりさせると乱暴に真希の肩を掴んだ。


「おいっ!真希起きろっ!いい加減にしろっ!」


「……ん…」


目を覚ました真希は息を切らしながら目を擦る。


「………随分“気持ち良さそうに”眠ってましたね…」


「黙れ関根っ!」


「あれ…二人とも…酔ってるんじゃ…」


徐々に状況を把握した真希が首を傾げて二人を見る。


「あぁっ!?ワイン一本開けただけで酔うわけないだろうがっ…!!!」


イライラを募らせる光瑠に真希は目を見開いて顔を紅くする。


「じゃあ…夢っ…?」


「ねぇ真希さん…どんな夢を見ていたのか教えてください…」


「えっ…いやっ…あのっ…」


「俺も気になる。
返答いかんによってはお前を今日寝かさない。」


「えっ…どっ、どうして…っ」


困り果てる真希に二人が迫る。


危険を感じた真希は、すぐさまソファーから立ち上がって、部屋から猛ダッシュで逃げ出した。


「あっ…真希さん」


「逃げるな真希っ…!!」


「許してくださいーー!!」



有川邸は広い───


鬼ごっこ、かくれんぼには持ってこいの場所である。


【完】

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