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その口でその指で
第3章 醜い嫉妬
奥まで行き着き、左右に別れた書庫を見比べる

外の明かりが段々と消えかけてる図書室では本棚の配置でさらに薄暗くなる

右側の通路へ足を向けた

背後で突然音がなり慌てて振り返る

自由を奪われた両手が腰で拘束されてしまった

「え!?なに?」

後ろにたつ人物が男子生徒なのは判るが、顔を上げるより後ろ手に手錠をはめられた両手の方がきになった

「やだっちょっとなにこれ!?はずしてよ」

ようやく男の顔を見上げる

「あっ」

「知ってるよね?俺のこと」

拘束したとは思えない笑で話しかけてくる

「・・何の用?あとこれ外してよ」

「だーめ。ね?」

「そんな言い方してもこんな犯罪行為みたいなこと許されないから」

彼女はパニックに陥ったあたまを気力で押さえつけ、気丈に振舞う

「牧野先生」

名前にぴくりと彼女の身体が強ばった

ちゃり・・ひとさし指にちいさな鍵をゆらして男が続ける

「あのひ見たでしょ?・・あの日だけじゃない、音楽室でも保健室にも居たよね。あ~保健室では・・ふふっ。独りでしてたよね。ふふっ」

「なっ」

一気に顔面蒼白と紅潮をくりかえす彼女

「カーテン越しに見えてたんだよ・・まぁ・・いいんじゃない?いつも一人だよね」

「関係ないでしょ。もういいからこれ外してよ。腕痺れ出してるし」

「だめー。俺さ、君に興味わいちゃったし」

「やだっ近い!近寄らないで」

「だめー」

男の手が容易く彼女の肩を掴む

両手が塞がった彼女の身体がバランスを崩して書庫の扉に背中がぶつかる

行き止まりになった彼女の目の前に男の顔とふわりと匂う甘いのに爽やかな香りが迫る

「やだ。なに?」

怯えた顔で目の前に近づいた男の顔をみる

「いっとくけど、だれもこないし、牧野先生に鍵あずかってるから誰も入らないよ。声だしていいからね」

優しく微笑むと彼女の肩を扉に押し付け彼女の唇に男の唇を重ねた

唇を押し付けるようにした長い口付けは彼女を容易く混乱させた

動揺した彼女の唇が開かれ、男の舌の侵入を許してしまう

呼吸の仕方がわからずに溢れる彼女のだ液が男の唇やくち周りを濡らす


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