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余熱
第12章 告げる

それからすぐに、カレンダーの7月のページをめくり、8月になった。
わたしは部活には入っていなかったが、生徒会には入っていて、
体育祭の運営や進行の準備をするために、8月からまた学校へ行かなければいけなくなった。
1年生のうちは執行部ではないので普段は仕事がないが、大きな学校行事の時には駆り出される。
しかしわたしはジャンケンで負けて1年生の学年代表になってしまったため、朝から夕方まで学校で企画や練習の中心に立っていた。
そうしているうちに、頭は体育祭のことでいっぱいになり、それまで思い悩んでいたことは一時的に紛らわすことができた。
夏休みは前半が終わろうとして、生徒会の集まりも一旦お盆休みを挟むことになった。
その日は祐の誕生日で、休み前の最後の打ち合わせに参加した後、祐の家族とバーベキューと花火をした。
それまでの缶詰め状態からの解放感も大きく、わたしはたくさん食べて、たくさん笑って、子供のようにはしゃいだ。
そして、そのまま祐の家に泊めさせてもらうことになった。
臭いのついてしまった服を消臭しようとして、祐はスプレーを手に取ったが、
「あ、もうこれなくなってた、
どうしよう…
…香水でもいい?」
引き出しから青い瓶の香水を取り出した。
「祐、香水つけるんだ、知らなかった。」
「もらったっきりで、使ったことないけどな。」
そう言って、祐はわたしのTシャツにその香水を1プッシュ吹きかけた。
息が、思考が、止まる。
この香り――。

