この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
余熱
第7章 火照る

二人のただならぬ雰囲気に、道行く人の視線が集まる。
「…とっ、とりあえず、まず、家、帰ろ、
話は、それから…」
わたしはお茶を濁して、祐の手を引き、点滅し出した青信号を駆け渡った。
そして信号を渡ったところで、先ほど祐と手を繋いだことを思い出し、慌てて手を離した。
それからマンションに着くまで、二人の間にはむず痒い沈黙が流れた。
先に口を開いたのは、祐だった。
わたしたちそれぞれの家がある7階へと昇るエレベーターの中、
「…今日は葉月の家がいい。」
「えっ」
いつもは祐の家と決まっているのだ。
「キスしたいから。」
な…っ!
何でそんなことさらっと口にできるの!?
いつもは祐と話していると落ち着くのに、今日は心を掻き乱されてばっかりだ。
祐に聞こえてしまうんじゃないかってくらい、心臓がうるさく鳴っている。
「…そ、そ、そんなの、別に祐ん家でもいいじゃん…!」
「俺ん家だと、歯止めがきかなくなる。」
そしてこんなことまで真顔で言ってのける祐。
心臓が木っ端微塵に砕け散ってしまうかと思った。

