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余熱
第8章 欲する

長袖のブラウスを着ているとじんわりと汗が滲むような季節になった。

祐の彼女になって、ちょうど一ヶ月が経ったところだった。

一緒に歩く時はいつも手を繋いでくれて、たまにわたしの家でキスをしてくれる。

幼なじみから彼氏彼女という関係になって、変化したことと言えば、それくらい。

沙月には、

「一ヶ月でそれは充分早いよ!

村田くん、見かけによらず結構やるな〜。」

と言われた。

毎日キスをする訳ではないからまだいいけど、

キスをすると、体の奥に眠っている熱が目を覚まし、疼いて、苦しくなる。

でも、やはりキスの先までは行けないままだった。


体が、あの快感を欲している。


祐とのことだけではない。

あれから、先生に会えていない。

先生は研修に行ったり、私情で欠勤したりしていて、夏期講習までは出勤する日が少ないらしい。

夏期講習は通常の授業と担当の先生が変わるから、夏休みが終わり、9月にまた通常授業に戻るまで、会えない可能性が高いということだ。

今のわたしには祐がいるのに、

先生の顔が見たくて仕方ない。

声が聞きたくて仕方ない。


――また、あの甘美な刺激を与えてほしくて、仕方ない。
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