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余熱
第9章 忘れる

思いがけない葉月からの電話に、胸が高鳴る。

そしてその喜びは、既婚の女性に手を出してしまったことや、

既婚だと知って突き放すように去ってしまったことへの罪悪感を忘れさせてくれるようで、小気味良かった。

胸の昂揚を抑えようとしたり、一旦道路の脇に駐車できる場所を探したりしているうちに、

左手の中のスマホは振動を止めてしまった。

大通りから一本入ったところでやっと車を駐めることができ、すぐさま電話を掛け直す。

「は、はいっ、もしもし、」

久しぶりに聞く彼女の声は、何故か慌ただしいものだった。

その慌ただしさに巻き込まれるかのように、俺の心も忙しなくなる。

「もしもし、」

平然を装って応答する。

「も…っ、もしもし、」

急に甘く、上ずった声。

村田祐と話していた時の声だ。

目隠しをして後ろから突き上げた時の声だ。

心拍数が一段と増加する。

俺はなんとかそれを悟られないように続けた。

「久しぶり。

さっき着信入ってたから、どうしたのかと思って。」

「ああ…えっと、あれはその…

間違えて掛けてしまって…すみません。」

そう答える彼女の声は、徐々に鼻声になっていく気がして、

「そう…

ねぇ…もしかして、泣いてるの?」

と尋ねた。

返事はない。

しばらく沈黙を置いて、微かに吐息の音が聞こえた。

その吐息に甘い熱を感じ、

小さな器械越しに伝わってきたその熱に、

胸が圧迫される。

耳から全身へと熱が広がっていく。

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