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光と首輪、絡まる鎖
第9章 過去
折角止まった涙が
また溢れ出していた。
沙良との電話を切ると、
まぶたの腫れを鎮めるように湯船に浸かりながら、
お湯で温めたタオルを目の上に置いた。
その日はよく眠れなかった。
翌日は仕事だから、早く寝なきゃって思うのに
賢児さんのことばかりが頭の中をぐるぐるして、
気付いたら、朝になっていた。
仕事中は忙しくて、
賢児さんのことを考える暇がなくてよかった。
でも夜、一人になると
どうしても考えてしまう。
わたしはどうしたいんだろう。
賢児さんから離れることができるの?
光さんのことを忘れられたのは
賢児さんが居てくれたから。
でも今は、心も、体も、
賢児さんに染まってしまっていて、
賢児さんのぬくもりから離れるのは・・・
とても、辛い・・・・・