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光と首輪、絡まる鎖
第9章 過去
嗚咽でうまく話せないのに、
沙良は時折相槌を打ちながらも
黙って聞いてくれた。
「それでも、賢児さんのこと、好きなの?」
「・・・好き」
「じゃあ、ちゃんと本人から直接聞きな」
「・・・うん」
「それで本当に結婚してたら
こはるはどうするの?」
「・・・別れる、と、思う」
「奪っちゃえば?」
「え・・・?」
「そんなに好きなら、奪っちゃえばって言ったの」
そんなこと出来ないよ・・・
「でもさ、もうすぐ30だったんでしょ?
あんなにイケメンでモテそうな男が、
そんな年まで一人身だってほうがおかしくない?」
「だから年齢も教えてくれてなかったのかな・・・」
「そうかもね、じゃあもう諦める?」
「え・・・」
「しばらくは一人で考えてみたら?
今からわたしがこはるの家に行って
朝まで話聞いたって、こはるは決められないでしょ?
それでも悩んでどうしようもない時は
こはるの家にすぐ行くから。
いつでも電話して?」
「沙良・・・ありがとう・・・」