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HOTEL・LOVE
第14章 そして2人は・・ひとつになった
日曜の昼下がり、やはりどのホテルも繁盛しているようで
空いている部屋は2つしかなかった。
きっと清掃が終わればすぐに
客が入ってくるのだろう。
この時間で空室があったのはラッキーだったと、
香澄は2つの部屋の写真を見比べた。
「どっちにする?」
肩の上の掌に力がこもる。
香澄は晴樹の返事を聞かないまま、
こっち、とボタンを押した。
和モダンとヨーロッパ風。
コパカバーナには無いヨーロッパ風を選んだ。
キーをもらいにフロントへ行くと、
明らかに若づくりしている熟年の女性が
不愛想にチェックアウトまでの流れを説明した。
もう少し笑顔でもいいんじゃない?
雪江さんは明るい声だけど、このおばさんは
声まで愛想がない。
キーを渡されて無言のままフロントに背を向けて
エレベーターを待つ。
香澄は眼で晴樹に語りかける。
あのおばさん、不愛想だね、と。
エレベーターが開き乗り込んでから、
ドアが閉まる寸前にフロントに目を向けた。
すると不愛想な眼がこちらを見ている。
その口元の端が、意地悪くつり上がっているのが
香澄にははっきりと見えた。