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HOTEL・LOVE
第14章 そして2人は・・ひとつになった
ドアが閉まってエレベーターが上を目指して動き出してから、
晴樹を見上げながら言った。
「あのおばさん・・
きっと私たちの事見抜いてるな。
そんな目、してたよ」
上から見下ろす晴樹は、
香澄の顔の前でひらひらと左手を揺らした。
「これ・・したままだったし・・」
左手の薬指に光る結婚指輪。
キーを受け取るために差し出した手は、左手。
香澄は納得した。
あのおばさんはきっと見逃さなかったのだろう。
結婚指輪をした男と伏し目がちな女。
この私でさえ、直面したら察するだろう。
晴樹は指輪をはずそうとした。
だが香澄はその手を止めた。
外さなくていい、と止めた。
「私もしたままでいる。
これは・・
現実につなぎとめておくための大切な鎖だもの・・」
頭を抱えるようにして、香澄を引き寄せた。
「そうだね・・」
女の体をさらに抱きしめようとした時、
エレベーターが開いた。
コパカバーナよりもさらに上の階、最上階の7階に降り立つ。
フカフカとしたカーペットが2人の足音を完全に消す。
そして重さも、感じさせた。