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HOTEL・LOVE
第16章 叶わぬ2度目
はじめての時と同じ駅で待ち合わせた。
2度目の昼飲み。
どこにしようかといくつかの店を通り過ぎたが、
今日も前と同じ店に入ることにした。
酒も飲めるし、それに合わせた食事もできる。
2人の意見は一致した。
だが、香澄は一杯目のビールをなかなか減らせなかった。
そのうえ食が進まない。
「どうしたの?食欲ないみたいだね。
具合悪いの?それとも・・」
やはり心のどこかに引っかかるものがあって、それで・・
「なんか食欲がなくなってきて・・
さっきまでは食べる気飲む気満々だったんだけど・・
どうしたんだろう・・ちょっと気持ち悪い・・」
吐き気を感じるなんて、何年振りだろうというくらい
ご無沙汰になっていたこの嫌な感覚。
少しすれば治るかな、と口にはなにも入れずに
晴樹との会話で気を紛らわせていたが、熱っぽさも感じるようになっていた。
「でよう。少し休んだほうが楽だよ」
その言葉に素直に従い、半分近くの料理を残したまま席を立った。
香澄は何度も謝った。
もったいない事してごめん、と繰り返す。
気にするな、と晴樹は香澄の肩を抱き寄せて、
あのホテル街を目指してゆっくりと歩いた。