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HOTEL・LOVE
第16章 叶わぬ2度目
香澄が電車を降りるまで付き添う、と
晴樹は自分の降りる駅に着くまで言い張ったが、
絶対にダメだと香澄も言い続けた。
「もう大丈夫だから、ね。
もし誰かに見られたら・・困るでしょ・・」
その言葉にやっと、晴樹も黙った。
晴樹の降りる駅に電車が滑り込む。
ドアがあくと、香澄は晴樹の背中を押した。
ホームに降り立ち、香澄を振り返る。
無言で頷く香澄の前を、ドアが滑る。
小さく手を振る姿が細長く糸を引くように離れて消えてなくなるまで、
晴樹はホームに立ち尽くした。