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HOTEL・LOVE
第18章 突然告げられた別れ
ホテル・コパカバーナとも
あと3回の勤務でお別れとなった。
休みがあけ出勤するとすぐにマネージャーに報告した。
本来ならば退職は1ヶ月前には申し出なければいけないのだが、
事が事だけにマネージャーも了解してくれた。
「とっても残念だけど、今の時期は無理してなにかあったら大変だからね。
特にこの仕事だとね、お風呂場で滑ったり中腰で作業とか
心配が多いからね。でもよかったね、笹木さん」
「はい、ありがとうございます。
ご迷惑おかけして本当に申し訳ありません」
深々と頭を下げる香澄に、
マネージャーはこうも付け加えた。
「お産後落ち着いて、仕事復帰するような時は
また戻ってきてください」
もし復帰したら・・また晴樹と会えるかもしれない・・
一緒に仕事ができるかもしれない・・だが・・
マネージャーの言葉に笑顔を返しながらも、
その場は曖昧な返事を返すにとどまった。
その後話を聞きつけてやってきた雪江が、
声を張り上げて喜んでくれた。
ママとしての先輩でもある雪江は
あれやこれやと知恵を授けてくれ、わからないことがあったら
いつでもメールしてほしいと言ってくれた。
勤務最終日の土曜日には
晴樹に報告しなければ・・
そして終わりを告げなければ・・
担当フロアにむかってゆっくりと階段を上りながら、
晴樹と並んでこの階段を上った時のことを
思い出して大きく息を吐いた。