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HOTEL・LOVE
第7章 縮まる距離
「笹木さん・・

 もうあんま驚かないんですか?

 あんな声聞いても」



最後の一部屋もあと少しで清掃が終わる。

当然気持ちは軽くなる。

そのついでに口も軽くなった晴樹は、

掃除機の音をたてる前に話しかけた。

額の汗を手の甲で拭う香澄が

眼をクリッとさせて晴樹に顔を向けた。



「そうね・・いまじゃまったく、だね。

 最初の頃はそりゃ驚いたしヘンに緊張もしたし。

 でもね、何度か聞いているうちにそれが

 当たり前みたいになっちゃうのよね・・

 それどころか・・」


「・・それどころか?」



自分自身の原動力になるよ・・

そう答えははっきりとしていたが、

それを口には出せない。

そんな事言ったら、この女、どういう神経してんだよって

白い目で見られちゃう・・


曖昧を前面に押し出したような笑みを浮かべ

ううん、なんでもない、と香澄は首を振った。


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