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HOTEL・LOVE
第9章 さらに縮まる距離



その質問は

嫌ってほどされた。


世の中のごく当たり前に従って

結婚してるか、していれば子供はいるか、

という問いかけは、まるで

おはようの挨拶と同じくらい気軽に口にする。


必ずしも当たり前じゃないって

わかっているはずだろうに。

それで傷ついたり寂しさを感じる人だって

いるだろうに・・


カップを揺すっていた手がしばらく止まったままだった。



「あの・・ごめんね・・

 そんなに深い意味はないんだよ。

 ただ結婚してるならっておもって・・」



2個になったドーナツののる皿を

香澄の方に押しやりながら、晴樹は

小刻みに頭を下げて謝った。



「ううん、気にしないで。

 ごめんなさい、私の方こそ気を使わせちゃって・・」



さっきまでの曇った空気を吹き飛ばそうと

香澄もドーナツに手を伸ばし、

いただきます、とかぶりついた。

う~んゴチのドーナツは格別にウマいよ!と

ふざけながら。

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