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HOTEL・LOVE
第9章 さらに縮まる距離
「女同士だとね・・」
咀嚼を終え、コーヒーをすすってから
呟くように香澄は話し出す。
「いるのいないの?なんでいないの?って、
けっこう深入りしてくる人っているけど・・
男の人ってそれ以上踏み込まないから、
そんなに気にならないかな。
でも・・普通聞くよね、今みたいに。
それが自然だもん」
店内にいる子供連れの家族に視線を向ける。
その女の横顔が、ぐいぐいと
自分の中に割り込んでくる。
憂いた眼差しを、なんとかしてやりたい、と
心が彼女にむかっていく・・
「やだぁもう!そんなに気にしないで!
なんかかえって私が悪いことしちゃったみたい」
晴樹が沈んでいたのは、そのことではない。
目の前にいる人妻が、
特別な意味を持ちそうになっているから、
それが怖くて・・
「いやそうじゃないんだ・・
あんまり笹木さんがきれいだから
ボーッとしちゃったんだ」
「え~?ご馳走してくれた上にお世辞攻撃?」
2人は笑いあった。
店内に渦巻く
数々の話し声や笑い声と
何ら変わることなく・・