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HOTEL・LOVE
第11章 求める理由


「ただいま・・」



力のない夫の声を無視するように、

友里は今日の出来事をまくしたてるようにしゃべる。



「今日ね、美和子たちとランチ行ったじゃない、そしたら

 ウェイターさんがテーブルの上のワイングラス倒しちゃってぇ!

 美和子のスカートにタレちゃったのぉ!

 そしたらお詫びにって、ワインのフルボトル

 サービスしてくれてさぁ。

 そんでね、そんでね」



そのキンキンとした声は、とにかく今の晴樹には

癇に障ってしかたなかった。


友達とのランチもダメだとは言わないが

自分は月に2,3回しか休日がないのに・・と

恨めしく感じたのは初めてかもしれない。

それだけ、昼間受けたダメージが

心を圧迫しているのだろうと

晴樹はため息をついた。



「ちょっと疲れたから・・

 風呂入ったらすぐ寝るよ・・」



話をさえぎるようにして

洗面所にむかおうとすると

後ろから脇腹を掴まれた。


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