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悪戯な思春期
第2章 重ねた王子様は微笑んで
やはりこのルックスで女性経験は豊富なんだろうか。
恋の駆け引きなど想像もつかない私は、西の一言に右往左往してしまう。
(ムカつく……)
「もしかして、朝食まだ?」
「……ご名答」
私はそろそろとドアを閉めようとしたが、西が二の腕を見せながら手で制止する。
頭の上のドアを掴まれたので、抵抗は難しい。
西に覆い被さられているようで、心臓が正常に機能するのも難しい。
「わかった」
西がニヤリと笑う。
「俺、作ろうか?」
(あぁ……俺様男子とはあなたのこと)
結論から言うと、西の料理はプロ顔負けだった。
親がいないため自炊には長けていると自惚れていた自分が恥ずかしいほどに。
西はまず新鮮さを失った葉野菜をまとてめ茹で上げ、その間にグラタンのルーとベーコンを混ぜて熱した。
それから戸棚の奥からパスタを取り出し、野菜を取り除いた鍋で煮た。
クリームの方にはオリーブオイルを振りかけ、トロトロに煮込んだ。
全てが鮮やかで、私は化粧なども繕わずに彼を眺めていた。
少ない調味料は全て役目を与えられ、隠し味にはナツメグが使われた。
真っ白な皿に盛り付ければ、イタリアレストランの看板メニューという肩書きも重くない仕上がりだった。
感嘆の声を上げると同時に私の腹が鳴った。
(消えてしまいたい)
西は一瞬目を見開いたが、フッと笑って配膳をした。
「多分、クリームはキツくないと思うけど」
「……滅茶苦茶美味しいです」
「そう。良かった」
考えてみれば由々しき事態だ。
まだ性格も把握してない思春期男子を二人きりの家に招き入れてしまったのだ。
(いや、招いてはいない決して)
西は両手を顔の前で組んで、ドラマに出て来る課長みたいに指の隙間からこちらを見ていた。
カーテン越しに降り注ぐ陽光に彼が輝く。
緑のチェックはグラデーションをつくり、魅了させるものがあった。
(ヤバい……ね。パスタの味がしなくなってきた)
「ほっぺ」
突然言われたので異国の言葉かと思った。
恋の駆け引きなど想像もつかない私は、西の一言に右往左往してしまう。
(ムカつく……)
「もしかして、朝食まだ?」
「……ご名答」
私はそろそろとドアを閉めようとしたが、西が二の腕を見せながら手で制止する。
頭の上のドアを掴まれたので、抵抗は難しい。
西に覆い被さられているようで、心臓が正常に機能するのも難しい。
「わかった」
西がニヤリと笑う。
「俺、作ろうか?」
(あぁ……俺様男子とはあなたのこと)
結論から言うと、西の料理はプロ顔負けだった。
親がいないため自炊には長けていると自惚れていた自分が恥ずかしいほどに。
西はまず新鮮さを失った葉野菜をまとてめ茹で上げ、その間にグラタンのルーとベーコンを混ぜて熱した。
それから戸棚の奥からパスタを取り出し、野菜を取り除いた鍋で煮た。
クリームの方にはオリーブオイルを振りかけ、トロトロに煮込んだ。
全てが鮮やかで、私は化粧なども繕わずに彼を眺めていた。
少ない調味料は全て役目を与えられ、隠し味にはナツメグが使われた。
真っ白な皿に盛り付ければ、イタリアレストランの看板メニューという肩書きも重くない仕上がりだった。
感嘆の声を上げると同時に私の腹が鳴った。
(消えてしまいたい)
西は一瞬目を見開いたが、フッと笑って配膳をした。
「多分、クリームはキツくないと思うけど」
「……滅茶苦茶美味しいです」
「そう。良かった」
考えてみれば由々しき事態だ。
まだ性格も把握してない思春期男子を二人きりの家に招き入れてしまったのだ。
(いや、招いてはいない決して)
西は両手を顔の前で組んで、ドラマに出て来る課長みたいに指の隙間からこちらを見ていた。
カーテン越しに降り注ぐ陽光に彼が輝く。
緑のチェックはグラデーションをつくり、魅了させるものがあった。
(ヤバい……ね。パスタの味がしなくなってきた)
「ほっぺ」
突然言われたので異国の言葉かと思った。