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色絵
第7章 満開
芍薬は背面の絵、牡丹は前面、今回も前面だ。芍薬では、着物を脱ぐポーズ、牡丹は待つポーズ、百合で何を求めているのか…

先生は離れた所で作品を描く。牡丹でくれた快感は貰えなかった。
内面の動きを、欲を描きたいと言っていた。
歩ける百合は、ワタシは何を望む?
芍薬、牡丹と違いワタシは歩けるのだ。
ワタシはどうしたい?


先生は色が足りないと言ってワタシを叱ることがあった。なのに今回は何も言われない。
先生が百合に求める欲は何?

ワタシは今どうして欲しい?


先生は何も言わず筆を進める。何か言って欲しい。
色が足りないといってワタシを構って欲しい。
歩けるワタシはどうしたいのか…

先生は一切視線を合わせてくれない。ワタシは人形でも花でもないの、先生、ワタシを構って?


コンセプトが明らかにされないまま始まった命と色を留める作業。
ワタシは自問自答しながら先生を見つめていた。

長いような、短いような、時間の感覚も忘れて答えを探していた。

ふと、ヴィーナスの事を考える。ヴィーナスとはどんな存在なのか。
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