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色絵
第2章 入門
屋敷の入口にたどり着く。和風のお屋敷をイメージしていたが洋館だった。

「奥は日本家屋で手前は洋館なんですよ。
前の主は欲張りな方だったようですね。」

ワタシの考えを読み取ったように家主が話した。

カランカラン

銅の鋳物のベルがドアを開けると鳴った。

緊張より、お伽噺の絵本をめくるような、ドキドキワクワクした気分だった。

「どうぞ、」

家主が玄関の左の部屋に入るので後に続く。

天井から壁まで、全てが真っ白だ。


二十畳くらいの部屋で、アトリエというのか、家主の仕事場のようだ。

真ん中のテーブルに透明なガラスの花瓶に薔薇が一枝挿されていて、
手前にテーブルがあり、薔薇が描かれている途中だった。

ガラスの花瓶は描かずに、薔薇の枝葉からが描かれていた。

まだ枝葉の一部が塗られているだけで、花は輪郭が描かれているだけだったが、

「綺麗」
思わず声に出る。

「色を作ったら一気に仕上げたいのでね。
申し訳ないけど、枝葉の色付けが終わるまで、
ここで見ていてもらえませんか…」


家主がテーブルより少し下がったところに、椅子を出してくれた。

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