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色絵
第10章 狂い咲き
決意してから、ワタシは何も恐れなかった。そして、嘘のように何事も上手くいっていた。

主人が先生の存在に気づくこともなく、乱暴に抱かれることもなくなっていった。

ただ、男の影はうっすら感じていて、嫉妬に狂い迫られる時はあったが、先生に抱かれていると思い込み、やり過ごしてきた。

先生に育てられた体は敏感に反応する。主人にしてみれば、難なくコトが達成すれば満足な訳で、夜の生活が充実すれば、日中も穏やかになっていった。

でも、もうワタシの心が主人に戻ることはなかった。主人がワタシを生活の道具と思うように、ワタシも糧を得るための手段と割り切っていた。

表面的には穏やかになったものの互いに無関心という感情の上に成り立った平穏だった。

沙絵さんも、その後は午後はひっそりとしていて、ワタシは存在すら忘れて先生との愛に溺れていた。

午前中はたまにアトリエに来ることもあった。
勉強を教えてとやってきたり、お茶の時間を一緒に過ごした。

少しずつ慣れてきて、お姉さんと呼ばれるようになっていた。

先生は男親だけでこれからの難しい時期を乗り越えられるか不安があり、そんな時にワタシに心を開いていてくれればいいとおっしゃっていた。
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